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夢の様な2週間だった。

どうしてこの大会に参加しようと思ったか、
普段なら絶対しない様なこと、
それはいつもの思いつきとしか言いようがない。
何かが心に引っかかったから。
後からもっともらしい理由をつけてみると、
渇水で寒い日本で漕ぐより、
暖かいところの激流で漕いだ方がトレーニングになるから、
賞金が出るので遠征費を稼いでこよう、
今しか出来ない、
今の身体能力、技術じゃないと出来ない事だから、
それは周りを納得させるというより、
自分自身を納得させる理由。

会場はgoogle mapでも出て来ないインドネシア北スマトラ島tannga村、Asahan川。
公共交通機関でそこに辿り着く方法はない。
空港からほんの少し高速道路を走ったら、
スラムかと勘違いするほど雰囲気のある街を抜け、
ゴムの木の林を抜け、
巨大なカルデラ湖を通過し、
熱帯雨林の、その中にその村はある。
信号ねぇ、水道ねぇ、医者?いるわけねぇ。
この国は何歳からバイク運転できるの?
ヘルメットは?
バイクって4人で乗って良かったっけ?

そんな規格外の村に、規格外のジャングル、規格外の川。

川は今まで漕いだ中で色々最大。
到着して3日間は自分がこの川では死なないという事がわからず、
スタート前の心拍数はスラロームの試合前より遥かに高い130以上。
前を漕いでくれる友達に必死に食らいつく毎日でした。

毎朝、朝食の前に「漕ぎに行くよー」
「ほな行くわー」
昼食べて、「また行くよー」
「ほな行くわー」
そんな生活。
波の大きさや、ボートになんとなく慣れてきて新しい早いラインを探している時は面白かった。
見つけたと思ったら目の前に急に巨大なホールが出てきて何も出来ずに只々縦チンしたり。

カヤックのレースの前にはラフトにも即席チームで参加しました。
まあこれはみんなマジメにやったけどお遊びの域を脱しないレベルでした。

カヤック最初の種目はダウンリバー。
全長4km弱という距離をたった11分程で下っていく。
落差は全体で80mくらい。
全長400mで落差10m位のスラロームでは最大規模のコースをその10倍の距離を下っていく。
練習の時は何人かで下っていくけど、
試合の時はレスキューは各所にいても、
基本1人。
それが一番不安で怖い。
試練は最大の難所:通称「rabbit hole 」をクリアした後に急に訪れた。
練習の時は少し大回りして気にしていなかったところを、
レース中は少しラインを削って小回りした。
練習の時にチェックしてなかった大きなホールが急に現れた。
先ずは侵入するときに踏み切って飛んでみる。
抜けない。ピタッと止まった。
この時はスピードが止まった位にしか思っていなかった。
前でしっかりキャッチしても、ハマったホールから抜けない。
そのまま上流に引きずり込まれる。
水圧が強過ぎてロールの体勢が取れない。
コケても完全にホールにハマっていることが理解できた。
僕ホールの中じゃロール出来ないんす。
どうする?チャレンジするか?抜けるのを待つか?
運良く抜けたことを感じ、一度息継ぎしてから起き上がる。
ホールにハマってからここまで15秒弱。
水中にいたのは10秒ほど。
本気で泳ぐかと思った。
この川、ボートに乗っている限り死なないけど、
泳いだら無傷では済まない事は容易に想像できる。
残り半分も立て直して頑張ったけど、
ホールに揉まれたタイムロスと、
それが後半の漕ぎにも影響し、
11位でゴール。
ゴールした時、
正直、泳がなくて済んだことが一番嬉しかった。

次の種目はスラローム。
コースは少し下流で、スタートは滑り台スタート。
スタートで気負い過ぎた。
気合十分に飛び出したことで滑り台の最中にボートが回転し始め、横向きで着水したせいで滑り台の勢いを完全に殺してしまった。
成績は5位。
スタートの失敗、
またボートがスラ艇と同じ動きをしないということを10日経ってもイマイチ理解していなかった。

最後の種目は4艇同時で滑り台スタートのボータークロス。
誰が一番にゴールするかというシンプルなもの。
自分より体の大きな欧米人とバチバチぶつかり合うけど、
激流を下る経験値とその中でラインを読む経験値は劣っていても、
持ってる漕力とフィジカルに関しては絶対負けない自信があった。
ボータークロスの良いところは、
別にラインを覚えなくても、誰かの後ろについていってゴールするまでに抜けばいいところ。
あんまり経験の差が出ないところ。
前日のスタートの反省がフルに活かされ、
成績は2位でした。
最後の最後で友達の体にボートをぶつければ1位になれたかも知れないけど、
ルール内であっても、やっぱりこれが本業じゃないから怪我させるわけにもいかないし、
最後は優しさが出ちゃいました。
まぁなんとか、わざわざ行った面目が立つ成績でした。

こういった大会に出るのに圧倒的に川下りの経験が足りないこと、
この種類のボートでそれ専用の練習がいること、
特にいつもの倍以上の重さのボートを動かすのに体幹が足りない、
これはスラロームボートでは露呈し難いけど、同じことは起こっているはず。
その辺を痛感しました。

世界は広いなと。
スラロームの選手以外でこんなに早い奴がいるのかと。
またこういう大会に参加するかと聞かれると、
今回のコースのように死なないような川なら、、、
もしかしたら、、、くらいだけど、
やってみて本当に良かったと思える経験でした。

多少ホールに揉まれても、
ボータークロスで思いっきりぶつかられても、
みんなが体調崩してる中そこそこの体調を保てたこと、
丈夫な身体に感謝。
慣れるまで付き添ってくれたスラロームの友達に感謝。
右も左も分からない日本人に優しく接してくれた全選手に感謝。
どこの誰かわからない日本人を快く迎え入れてくれたオーガナイザーに感謝。
感謝。感謝です。
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プロフィール
HN:
金谷 徹
年齢:
37
性別:
男性
誕生日:
1986/12/25
職業:
Pro Canoe Slalom Athlete
趣味:
マンガ
自己紹介:
ちゃうねん。
カヌーやなくてカヤックやねん。
別にどっちゃでもええけど。
レジャーちゃうで。
プロやねん。
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